睡眠の基礎

眠れない訳

「眠れない」といっても、その原因はさまざまです。
3つのケースのQ&A形式で、その訳(わけ)を解説します。

Q:なかなか寝つけない。そして夜中に何度も目が覚めるのですが。

A:睡眠は「安心な状態になったら」「疲れたら」「夜だから」の3つの仕組みで調節されています。
逆に言えば「安心できない」「脳が疲れていない」「身体と脳が夜の状態になっていない」時に、眠れない状態になることが多いのです。

試験や大切な行事の前に緊張して眠れない。嫌なことを思い出して眠れない。このような経験は誰にでもあるはずです。また、大変な災害や災いにあった人たちの多くは「不安で眠れない」ことを訴えます。心配や不安で眠れないということは、世界共通なのです。 こうして眠れない日々が続くと、次第に「眠れなかったらどうしよう」という不安が高まってきます。 こうなってしまうと、日々の出来事とは関係なく、毎晩、寝つくのに苦労するようになります。

一方、睡眠不足になると、普通は、日中の眠気が強くなると同時に、夜も深く眠るようになります。 これは、長時間の活動で脳が疲労してくることと関係しており、疲労した脳を、積極的に休ませようとする機能なのです。 長時間労働などで、睡眠時間が不足している時は、布団に入るとぐっすり眠ってしまいます。反対に日中、あまり活動的に過ごさなかった場合には、睡眠は浅くなる傾向があります。

注意しなければならないのは、身体に痛みや異常な感覚がある場合です。代表的な症状としては、 眠ろうと横になると、足に異常な感覚を感じ、動かさないといられなくなり、眠れなくなる「レストレスレッグス(むずむず脚)症候群」。 眠り始めに、手足が繰り返しピクピクして眠りが浅くなったり、目が覚めてしまう「周期性四肢運動障害」。 眠ると息が詰まって眠りが浅くなり、夜中に目が覚めてしまう「睡眠時無呼吸症候群」。 いずれの場合も、気になるような場合は、医師に診断してもらいましょう。

Q:眠れない状態が続いています

A:眠れない状態が続く時は、先ず「何に一番困っているのか」「どのように眠れないのか」「どのくらいの頻度で眠れないのか」を冷静に考えてみて下さい。

「不眠症」とは、ふさわしい時間帯に、ふさわしい環境で、眠ろうと寝床に入るのに、寝つきが悪い、何度も目が覚める、睡眠が浅い、などの状態を言います。 このために、寝床の中で苦しみ、次の日には、心身に具合の悪さが起こるのです。
反対に「睡眠不足」や「断眠」と呼ばれる状態があります。 これは、仕事が忙しかったり、夜遅くまで遊んでいたりして、寝床に入っても十分に休む時間がなく、慢性的に睡眠時間が足りない状態をいいます。この場合は、寝床に入るとすぐ眠ってしまいます。そして昼間に眠気で起こり、つらい状態が続きます。

なかなか眠れず、日中の調子が悪いと感じたら、先ずは、どのように眠れないのか?を考えてみましょう。 寝つきが悪くて困っているのか、夜中に目が覚めて困っているのか、朝早く目覚めて困っているのか、睡眠が全体に浅い感じで疲れがとれないため困っているのか、さらには、このような症状が週に何回あるのか、ということを冷静にチェックしてみましょう。

その上で、「何かきっかけがあって眠れなくなったのか」を自分なりに考えてみましょう。精神的なストレスが解決されないでいると、寝つきの際に頭がさえてしまい、寝つきが悪くなってしまいます。 中でも「今夜もまた眠れなかったらどうしよう」ということが一番の気がかりな場合は、注意が必要です。 眠れないのでは?という不安で、頭がさえてしまい眠れなくなる。その結果、眠れなかったことが、更なる心配の種になるという一種の悪循環の状態になってしまいます。

先ずは、「しっかりと眠くなってから床に就くこと」「休みの日も規則正しく起床すること」が重要です。
また、生活パターンの変化が原因のケースもあります。退職で時間的な余裕ができた。子どもの手が離れ、お弁当を作らないでよくなった。など、それまで睡眠不足気味だった人の、睡眠習慣が変わり、寝床で十分な時間が過ごせるようになった場合、かえって睡眠が浅くなったり、夜中に目が覚めることが多くなったということがあります。 この場合には、先ず不眠になる前の生活習慣に、今一度戻してみることで改善される場合もあります。

先ずは必要以上に「眠れなかったらどうしよう・・・」と考えすぎず、これらの工夫をしてみましょう。 それでも長期間、改善しない場合には、医療機関の受診をお勧めします。 「相談者をもつこと」が意外な解決策の発見につながるケースもあるのです。

Q:身近な人が不眠で悩んでいます

A:身近な人が不眠で悩んでいる場合、先ず最初に「眠れないことで、日中に、どのような問題が起こっているのか?困っているのか?」を聞いてあげましょう。「誰かに聞いてもらう」ことで気分が落ち着き、眠れるようになるケースもあります。

とはいえ、以下のようなケースの場合は注意が必要です。専門医に受診することをすすめて下さい。

夜間の不眠は、日中の疲労感・不調感、作業中の注意・集中力の低下、気分変調、など日中生活の質的な低下につながります。これが慢性的になると、日中に、これらの症状があるにも関わらず、昼寝もとれなくなって、昼夜を問わず眠りにくい状態になります。特に注意してもらいたいのは、眠れない原因に、睡眠に関する病気が潜んでいる場合があるケースです。

例えば、「レストレスレッグス(むずむず脚)症候群」になると、就寝時、足に異常な感覚が発生し、足を動かさずにいられなくなります。このために眠れなくなるのですが、当人からすると、眠れないのことが原因で、足に異常な感覚が起こるのだと判断しがちです。 これに似たような病気で「周期性四肢運動障害」というものがあります。睡眠中、繰り返し手足のぴくつきが起こるために睡眠が浅くなったり、頻繁に目が覚めてしまったりします。 この時、夜中に目が覚めることを自覚することはありますが、原因となっている手足のぴくつきには気づかない場合があります。 他の人に観察してもらえば、直ぐにわかることですので、ご家族などが、睡眠中の様子を観察することが重要になります。

また、「睡眠時無呼吸症候群」では、睡眠中に喉の奥が詰まり息が通らなくなるために、睡眠が浅くなります。このケースも、睡眠中の状態を観察すれば、激しいいびきや、呼吸停止が明らかに分かります。

このような睡眠に関する病気が原因と疑われる場合は、専門医の診察が必要になりますので、受診を薦めましょう。

さらに、不眠はうつ病の初期症状の場合も考えられます。うつ病のために、睡眠障害や、日中の気分障害が起こり、眠れないことが原因で、憂うつになったと考えてしまうことが多くありますので注意が必要です。 人から、不眠の相談を受けた場合、先ずは話を聞き、次に生活習慣のチェックをするよう薦めましょう。また、一目で辛そうに見える時には、迷わず医療機関での受診を勧めることが重要です。


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